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第2回  筌廬(1871〜1945)と章石(1876〜1956)
     
せんろ        しょうせき

河井筌廬

「熊谷家印」

筌廬21才の作と伝えられています。六朝(りくちょう)風(中国-東晋-南北朝時代に流行した書風。王義之の楷書体は有名)の文字に大和古印とよばれる日本の古代鋳造印にみられる墨だまりをほどこし古色豊かに仕上げた作品。堂々とした風格の文字が時間と共に風化し枯れた素朴な風合いに変化して行くおもしろさをじっくり味わって下さい。それにしても21才の若さですでにこの域に達してたとは・・・博識の深さなしには生まれ得ない作品です。

直康之印」

明治の文人、奥村竹亭愛用の白文の落款印。「直康」は竹亭の名。力づよく迷いのない直線。印刀の切れを感じます。それでいてどこか素朴で暖かみを感じるのはなぜでしょう?右上の角をひときわ丸く削いだせいでしょうか?「之」字、「印」字の間の取り具合のせいでしょうか?みなさんはどう感じられますか?

「竹亭」

奥村竹亭の朱文の落款印。上記の「直康之印」と1対のもの。伸びやかで素直な筆意に枯れた文字の造作。「竹」字の上部から右側にかけてと「亭」字左側の枠線を思い切ってはずすことで文字ののびやかさが1段と増しています。奥村氏が実際どのような人柄であったかわかりませんが竹林の庵でニコニコしてる好々爺のすがたを想像してしまう雰囲気にあふれた作品。

「直康」

こちらも奥村竹亭愛用の印。上記2顆の印より実際にはずっと小振りの印です。先ず、目に付くのは「直」字の中の横線2本。迷いなく右下に彫りあげられていてモダンささえ感じます。上下左右の枠の太さのバランスも絶妙です。素朴で楽しげな何にでもポンポン押したくなるような印。

河井章石

 

         

「内愚外賢」

引首印(いんしゅいん・・・書や絵画の作品の始めにしるす印。座右の銘などをしるすことが多いがきまりはない)、戒めの言葉です。人は見かけはいくら立派で賢くみえても内に愚かさを抱えているもの、だからこそ常に謙虚に自らを内省する事の大切さ。力強い印篆で「愚」「賢」の2字を大きく布字しインパクト強く作者の姿勢を示しています。印左側のかすれ具合と右側の朱の残り具合の対称性が作品全体をひきしめこの印を使う人の作品に向かう態度の真摯さを忍ばせています。

「高嶋屋呉服店美術部印」

「タカシマヤゴフクテン?どこかで聞いたような気が?」そうです、バラのマークのあのデパート、高島屋の前身です。高島屋の発祥は京都、だからハンコも京印章だったんですね。このときはすでに美術部があったんですから今のようなデパートとして確立していたのでしょう。それにしてもこの繊細さ、優雅さ呉服の世界から発展していった企業の鑑識眼のレベルの高さと確かさを遺憾なく示す逸品です。企業の顔としてのハンコの役割をしっかり果たしている作品。

          

「特撰」

特撰の海苔、特撰のお茶、特撰の○○・・・。進物品なんかによくありますよね。どの商品も見た目や素人判断では良いのか悪いのか判断がつきにくいもの。プロの鑑識眼や専門店の経験の助けなしには本物がなかなか手に入らないものです。プロの目にかなったものだけにしるす文字通りの「特撰」のお墨付き。六朝風の力強い碑文風の楷書に伝統をかもしだす、さびた枠、京の老舗のお墨付きです。それにしても最近あやしい「特撰」多いと思いませんか?

「不一」

雅号でしょうか?とれとも禅語かな。勉強不足ですいません。「不一(ふいつ)」充分にかきつくせないという意味で手紙の文末に書く言葉と関係ありそうです。とにかく実物は大きい印影なので手紙に押したものではなさそうです。ともあれ、おもしろいハンコでしょ。遊び心と意志を同時に感じさせる作品です。力のある行書体を真中上部に配置され、インパクト強く迫ってきます。空きを大胆にとり、虫食いの丸枠で程良く引きしめ暖かみある作品になっています。禅僧の方の書画作品によく見受けられそうな構図と意匠ですね。

以上で第二回京印章ぎゃらりい、筌廬と章石をおわります。印章の世界でそれぞれ違う道を歩んだ兄弟。互いに切磋琢磨しながら1時代を築き、多くの後継者にとって憧れと目標を与えた二人の名人にここで改めて感謝したいと思います。

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