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第1回  中野慶之輔 なかの けいのすけ(1888〜1970)

「五味康祐」
小説家、故 五味康祐氏の印。どんなご縁があったのか今となっては解りませんが昔の印影をひっくり返したらありました。思いきって直線を強調した「五」とユーモラスな曲線の「味」の組み合わせ、どこかつかみ所のない飄々とした小説家にして占い師、五味康祐氏の人柄をよくあらわしています。


「佐藤司郎」

典型的な京印章の実用印。繊細な細字の篆書体と力強い中太の丸枠、上下左右の空き加減のバランス、三位一体となった時の美しさ。また、繊細で壊れやすい細字に絶妙な強弱、太細を加えることで、古色を出し暖かみとおおらかささえ醸し出すハンコのマジックです。悲しいことですが最近こんな印を彫刻できる人、いなくなりました。

「小嶋太市」

画数の少ない「小」と画数の多い「嶋」の組み合わせ、結構、ハンコや泣かせなんです。「嶋」を思いきって「小」より大きくすること、複雑な「嶋」の篆書体の選定を「山」偏が「鳥」つくりの下に位置する篆書体にすることで一本一本の線の間隔が整い安定感がでています。また、得意の細字と枠線の中太線の組み合わせ。実用印でありながら芸術作品の逸品。

「島津義宣」

細字に細枠、技術の限界に挑んでます。
しかもただ細いわけでない。曲線の丸いふくらみと線質の古色と強弱で優雅でやさしさを演出しています。正確で確実なしごとぶりに明治人の気骨と誇りを感じます。

「篁」

漢字一字の姓はいろいろ有りますが認印にするとどうも収まりが難しいものです。「篁(たかむら)」の文字はそんな中でも比較的、収まりのよい文字です。しかし、書体を京印章に多い印篆ではなく、丸枠の中に丸みを強調した「小篆書」を配置することで収まりだけでなくユーモアと暖かみをくわえている所にこの印の工夫と成功が有ります。

「広布山妙徳寺」

寺院の角印。一見何の変哲もない隷書体ですが文字に古色を出し枯れた風合いに仕上がっています。文字の線の切れ目が自然でくどくなく古印体にみられるように鋳型風に文字の結体をまるく処理せず、毛筆による隷書の筆意をしっかり再現しているところは出色。

「光山教学振興吉田財団理事長印」

中国、漢時代の皇帝の印を思わす堂々たる漢印篆書体の作品。一字一字の大きさは決して揃っていないが、全体としてみた時の風格。理事長と言う役職に相応しい雰囲気をかもしだしています。そして、なんといっても「山」字の大胆かつ斬新な処理。「これでいいのだ!」と主張しています。実用の印でこんな発想のできる人、今はいません。

「浄土真宗本願寺派宗務所印」

日本を代表する仏教宗派の一つ浄土真宗本願寺派。その本山宗務所で使用された印。歴史と伝統、そして文化と権威をもっとも求められる本山寺院の印章にこそ漢印篆の風格が相応しいでしょう。さらに古色豊かに文字を彫出すことで歴史と伝統に裏打ちされた宗派の権威がいやみなく印影にうつしだされています。

以上で第一回京印章ぎゃらりい、中野慶之輔をおわります。ここで見て頂いた印影は中野慶之輔の永年のハンコ生活のほんの一部分にすぎません。ただ、この中で言えるのは文字を印に刻むと言うことはただ、読めればそれでよいと言うものではなくハンコ職人がこの印はいつ、誰が、どのようにこの印をつかうのかをよくわきまえ消費者本人に成り変わってその書体、文字を選定し匠の技で全身全霊を込めて彫り上げるものだ、ということです。京印章はそんな職人達の努力と研鑽、プライドの積み重ねの中で歴史を刻み続けているのです。

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